動物園獣医学を活用した教育啓蒙展示の試み

来園者

'1.動物園獣医師の仕事や役割、動物学および野生動物保護などに関する解説板の設置。例えば、治療の様子などを写真や吹き矢式シリンジを用いて(写真1)、ラクダの解剖や生理機能を模型で(写真2)、またカイセン症タヌキを例とした野生動物救護を物語風に、それぞれ視覚的に説明している。2.狂犬病(写真3)と移入動物に関する企画展の開催。正しい知識を普及させ、その脅威と侵入防止策などを説いた。3.動物園獣医師や野生動物保護などをテーマとした園内ガイドを定期的に行っている。4.学会や大学で講演を行い、視聴者に動物園の使命や野生動物保護への関わり方、また学生に将来の活動展開の可能性などを伝えた。獣医学会で講演を行うなど動物園が学術分野へも貢献することを目指している。5.インターネット上で動物園獣医師の仕事や研究について紹介している。6.電話、手紙や訪問による市民からの動物に関する相談・質問。人に何かを伝えようとする教育啓蒙活動は、動物園が社会に貢献しうる施設であることを世の中にアピールしていくために重要な取り組みである。常に表舞台に立つ飼育担当者に対して、動物園獣医師は本来主に裏側で動物の健康管理を行っている。しかし、動物園獣医師が人の前に出て教育啓蒙活動に取り組むことは 旭川市旭山動物園では獣医師が専門的知識を応用してさまざまな形で、最新の動物を取り巻く社会問題(動物愛護、野生動物問題、野生動物保護、人獣共通感染症(狂犬病、オウム病、野兎病、・・・))などを一般来園者にわかりやすく説明するよう日々努力している。ガイドでは野生復帰が困難な野生動物を積極的に市民の前に出して触れてもらい、生命や野生動物の尊さを直に伝えられるよう工夫している。ラクダ舎の前に設置した解説版では、砂漠や乾燥した環境に適応した身体の仕組みや生理機能について、赤血球の形や複胃の構造など専門的内容も織り交ぜながらわかりやすく説明している。不特定多数の人が集まる動物園では、動物の魅力を1人でも多くに伝え、それらと周囲の自然環境を大切にする思想を啓蒙できれば意義は大きい。 このように動物園獣医師が人に何かを伝えようとするひたむきな姿勢を推薦したい。