Zooナイト2004.Part2

来園者

札幌市円山動物園で8月上旬(6〜7日)に行われた、夜9時まで開園の夜間開放では夜行性動物観察のための照明が施される他、知られざる裏話を聞くことができたり、充実したイベントのに参加することができ、来園者には嬉しい限りの催しです。真っ暗な類人猿館では、物音ひとつしない程静まり返っているのに対し、日中は石のように眠っていたウォンバットが別人のように活発に動いている姿を見ることができるという、夜間ならではの醍醐味を味わえる他、延長初日の6日は、海獣舎での餌やりや、サル山ワンポイントガイド 、大人のための動物講座、クイズ大会、ワラビーの赤ちゃんへの授乳など、全てに参加することは不可能なほどのイベントが行われていました。そこで、サル山ワンポイントガイドと、大人のための動物講座について感想を交えてご紹介します。まず、サル山ワンポイントガイドでは、マイクをつけた飼育係さんが、サル達のおやつ(ヒエ)を撒きながら、ニホンザルの生息域や身体的特徴、人工保育、そしてサルと仲良くなる方法について教えてくださいました。人工保育に関しては、円山動物園で最近実際にあった事例、育児放棄された赤ちゃんをサル山に戻すまでの過程について教えていただきました。その赤ちゃんは、人工保育から、途中で子育て上手なおばあちゃんザルに託され、今では無事に社会化できているそうですが、このお話を通し、群れを形成する動物にとっての社会化の大切さを改めて考えました。その個体は、群れに暮らす今でも、飼育係さんに自ら寄ってくるとのことですが、飼育係さんのサル山デビューの際には、人馴れしたその個体が群れの中にいることによって、サルたちの警戒を和らげるのに一役かってくれたとの裏情報も興味深く聞きけました。このようなサル山裏話を聞いている間、黙々とヒエを食べ続けるサルたちは、手先の器用さを存分にアピールしてくれていました。多くの個体が左右の手を交互に使い、器用に指先でつまんで食べる中、一部、手のひらを地面に押し当て、ヒエをごっそりとつけて舐めるという採食法も見られ、個性差というべきか、要領の良さも見ることができました。また、ガイド中に生じたサル達のケンカの際にも、飼育員さんの解説が入ることで、サル達の関係が明確になり、新鮮なドラマを見ているような感覚を味わうことができました。次に大人のための動物講座では、プロジェクターで写された映像とともに、昨年12月、ホッキョクグマのララとデナリの間に生まれたツヨシの誕生を中心に、動物たちの繁殖について講演をしていただきました。ツヨシ誕生に向け、「雪の中に掘った穴の中で出産する」という本来の出産環境に近づけるための工夫(産室への光や音の侵入を断つ)や、それに対する取り組みの様子は、聞いているだけでも張り詰めた空気を感じ、出産を見守っている方々の情熱と緊張感が伝わってきました。また、この講演では、今回のツヨシくんのような喜ばしい事例だけでなく、過去の育児がうまくいかなかった事例についても説明していただき、実際に母親に咬まれ、命を落とした生後間もない赤ちゃんの標本も見せていただきました。赤ちゃんとはいえ、しっかりとホッキョクグマの形を呈し、生を受けたことを考えると、出産や育児に及ぼす環境の影響は計り知れないものであることを実感せずにいられませんでした。この講演のあと、暗闇の中、夜行性動物観察のために、ところどころ淡い光でライトアップされた園内を歩き、ララとツヨシに会ってきました。出生にまつわる裏話を聞き、一方的な親近感を覚えながらも、ララとデナリと、動物園の多くの方々の結晶であるツヨシの無邪気に木切れで遊ぶ姿を見て、安堵するとともに、これからも強くたくましく成長する姿を見ていきたいと思いました。今回のイベントを通し、私が見聞きした数々裏話は、日々動物達と接されている方々ならではの視点に基づいた動物達の姿であり、どれもとても新鮮に感じられ、説明を受けた動物たちがより気になる存在となりました。サル山でのヒエの例では、見る側にとって、サルたちの器用さを実感する機会となるだけでなく、サルたちにとっても、採食に費やす時間を延ばすという環境エンリッチメントとなり、はたまた、どうやって効率良く食べようかと、試行錯誤に費やす時間になるかもしれません。我々は、様々な動物に関する情報を、文字や絵を通して知ることも可能ですが、生きた動物たちの動きを実際に見て知るという驚きや楽しさ、そしてそれぞれ個体差があることを知ることは、来園者にとってのエンリッチメントとなり、そしてそれを披露する機会をもつ動物達にとっても同様であると思います。そこで、今回の沢山のイベントを企画実行してくださった皆様に感謝すると同時に、今後も是非