延吉紀奉

霊長目 > チンパンジー

 同じ飼育員として尊敬し、これからも頑張って環境エンリッチメントに取り組んでもらいたい延吉紀奉飼育員を推薦いたします。
 彼は、本当に動物が、動物園が好き!!っと、誰が見てもわかるくらいの仕事をしてきています。彼の現担当動物はチンパンジー・ワオキツネザル・エリマキキツネザルですが、どの動物も彼が担当を始めてから、毛づやも良くなり、活発な動きも良く見られ、また、動物園という展示の側面からも好評を受ける獣舎改修などのエンリッチメントを一人で進めてきています。
 今回同封させていただいています写真の1枚はエリマキキツネザルの獣舎です。開園当初より植物や数本の倒木はありましたが、樹間を飛び回ったり移動すると思われるエリマキキツネザルにとっては、けして適当な獣舎ではなく、実際日中のほとんどは木陰で寝てすごし姿はあまり見れませんでしたし、動きが活発になる時間も、フェンスを登ったり降りたりするくらいの活動でした。それを彼が行動観察を重ね、当公園で生活している襟巻きキツネザルがどのような行動を欲求しているのかを推測し、倒木やツタを園内の山から集めて獣舎内に張り巡らせて作り上げています。この獣舎改造を始めたのは1年位前ですが、今でも定期的にツタを追加したり、入れ替えたり、また行動が常同化(今現在はツタを沢山張り巡らせているので常同化する事はないと言っていました)しないように配置を変えたりと取り組んでいます。
 これと同様にワオキツネザルに関しても、より多くの行動を引き出せるように獣舎の改修に取り組んでいます。ワオキツネザルの方は丸太やロープといった人工物を使用した改修を進めていて、エンリッチメント=自然という認識を変えたいと言っていました。
 また、居室内(写真有り)でも同様にロープやチェーン、丸太などを使って遊具を作っているほか、エサやエサの与え方などにも工夫をしています。まず、給餌回数は3〜5回でエサは購入している野菜や果物のほか、園内になっている木の実や果実、樹などを自分で採集してきて与えています。給餌方法ですが、エリマキキツネザルの場合、張り巡らされているツタに設置してあるカゴに分けて与えるほか、草むらに隠すなど、また面白いのが、ぶらさがらないと取れないエサやかごです。彼が言うには、エリマキキツネザルは後ろ足でツタやフェンスにぶらさがってグルーミングや、樹の葉を食べているのが観察できたのでぶら下げてつけたそうです。そして、ただエリマキキツネザルの為だけにしたのではなく、お客様にもこのキツネザルの行動を見てもらったり、またどうして足でぶらさがる事が出来るのかなどの教育的要素も含めて取り付けたそうです。
 次にチンパンジーに対する取り組みですが、チンパンジーに対しては園内の安全基準等により簡単に獣舎改修、及び遊具やロープの取り付けが出来ないようで、本当に小さいことですが、運動場内の倒木に穴を開けてエサをかくしたり、ガラス面(観覧用)にハチミツを塗ったり、また毎朝ガラスの上部(高さ260cm)の所にりんごを貼り付けるなどのエサの与え方に工夫をしている他、エサの回数も5〜7回と他の動物より多く与えていますし、エサも果物を凍らせたり、焼いたりなどいろいろ調理も加えていろんな食を楽しめるようにも工夫をこらしています。彼がチンパンジーで最も力を入れているのは、特にヒトとのコミュニケーションです。彼の飼育のテーマというのが『ヒトと動物との関わり合い』らしく、特にチンパンジーに対しては社会性を重視する人と同じ生き物としてコミュニケーションという時間を大切にしているようです。担当動物および副担当動物を抱えた作業の中でも、必ず朝(勤務時間外で)1時間(当園の飼育員にとって1時間連続で動物とコミュニケーションをとるということは、勤務時間内では出来ません。)はチンパンジーたちと過ごすようにしているらしく、積木などのおもちゃで遊ぶほか、引っ張りあいこや毛づくろいなどを行っているようです。
 以上担当動物での取り組みですが、それ以外の動物でもいろいろな取り組みを実施してきています。
 例えばアライグマの獣舎内ですが、アライグマが植物をいじったり、隠れている無視をさがす事を良くしてきては植え、また下草を生やすために、山土を持ってきたりと、アライグマがほじくっては植える、のやり取りを半年以上続けていました。そのかいもあってか、今では多少アライグマが遊んでも枯れることがないほどの植物が芽をだしています。
 他にも、プレーリードックにも同様に植物を植える試みをしたり(実際には獣舎が狭いため、食べる方が上回って、植物が育つことはありませんでしたが)地下にトンネルを掘ることが限られている運動場内の地下トンネル遊具をつくってくれたりと・・・・、この他にも本当に地道かつ動物にやさしい取り組みを彼は続けてきてくれています。
また彼を表彰してあげたいもう1つの理由として、これらの取り組みを行っていくために勤務時間外にはもちろん、休みの日でも行動観察の為に園に出てきて頑張っていますし、エサの給餌回数や、コミュニケーションの時間を持てば、他作業(当園は営業などの仕事もあるため)に支障が出ると、休憩時間もほとんどとらずにやっていることです。
*環境エンリッチメントの他にも動物のことをより多くのお客様に知ってもらおうと努力しているのも彼が園1番だと思います。園内の工夫された手作り看板ほか、彼が取り組むイベントなど。
彼のこれまでの取り組みが、そしてこれからの取り組みがより多くの人に理解、そして賛同していただけるように是非彼に環境エンリッチメント大賞を取らせてあげたいと思います。
到津の森公園を支えていく延吉飼育員をよろしくお願いいたします。