PARC ZOOLOGIQUE DE PARIS
通称:パリZoo


報告者は 落合知美

訪れた日は1999年1月18日です。

それぞれの写真をクリックすれば大きい写真を見ることができます。


 フランス、パリから地下鉄にのって東に数十分行ったところに、パリ動物園はあります。バンセンヌの森の中にあるので、バンセンヌ動物園ともよばれるそうです。

 地下鉄”バンセンヌ城駅”で降りたら、城門の前にでました。朝だったので霧がかかりとっても神秘的でした(左の写真)。が、ここから動物園までは森を横切らなければならず、かなり遠かったです。もう2駅前で降りると良かったみたい。

 パリZooめざし歩けど歩けど森は続く、、、。ただ歩くのに飽きたので写真を撮ってみました(右の写真) 。霧に包まれたバンセンヌの森、うーんロマンチック!(霧の中からは白馬の王子様ならぬ、ジョギング中のおじさんが走ってきます)。

 パリ動物園のシンボルは、なんといっても高さ65mもある岩塔です。園外からでも目だちます。中は展望台になっていて、上まで登れると聞いたのですが、私が行ったときは立入禁止の看板があり、入れませんでした。残念、、。

 動物園の入口は4カ所あります。左はバンセンヌの森側の入口です。左手にぼんやりとそびえたつ岩塔が見えます。
 右は真下から見た岩塔。岩場に住むヤギが展示されていました。かなり見上げないと見えません。

 この動物園は1934年に設立され、1997年に大改装が行われたそうです。

 岩塔の中にある一室では、その大改装の様子を説明していました。岩塔の模型やパネルが展示され(左の写真)、その製作過程をうつしたビデオが上映されていました。最新の高度な擬岩製作技術が使われたそうです。

 確かに岩塔は目を引きましたが、動物の飼育状況は良いとは言えませんでした。せっかくいろいろな動物がいるのに、岩塔とその技術ばかりに目を向けて、主役であるはずの動物が置き去りにされているように感じました。

 左は、鳥類の展示。大きな岩山を背景にして、檻で囲まれた空間が小さく見えます。

 園内には、様々な動物が展示されていました。535個体の哺乳類と、600羽の鳥類を飼育しているそうです。は虫類や両生類、魚類はいません。ゾウ、キリン、ライオン、クマなどのほか、パンダやオカピ、シロサイなどの希少種もいて、動物の品揃えは”フランスを代表する動物園”といった感じでした。(しかし、飼育環境がどれもいまひとつ・・)

 園内には、「昔に作られたみすぼらしい檻」はなかったのですが、どれも擬岩(ようはコンクリート)を中心としたもので、あまり代わり映えがありませんでした。

 これは、ギニアヒヒの展示です。擬岩の芸術といったところでしょうか(^^;)?隣にニホンザルの展示もあったのですが、同じような構造でした。

 擬岩は製作費が高くつきます。また、動物福祉の視点で見ると、擬岩は変化がない人工物なので、単調な生活を強いられがちな飼育動物にとって、好ましい物とは言えません。
 きっと、昔は木が生えていたのでしょう。朽ち果てた木の幹がありました。

 コンカラーテナガザルの展示です。岩の上に、白い毛のメスと黒い毛のオスが座っています。

 30分ほど見ていたのですが、テナガザルはときどき岩場を走るだけで、看板に書かれているような腕渡り(ブラキエーション)は見られませんでした。
 野生のテナガザルは木の上で生活し、地上にはほとんど降りないそうです。この展示場にも、木を植えるか、もしくは木の代わりになるような三次元の構造物を作ったら、テナガザルも野生と同じように腕渡りができるのに・・と思いました。動物園の飼育空間としては、ここの環境は広いほうなのに、空間の内容が充実していないので、もったいないと思いました。

 グアナコの展示です。レア(ダチョウの親戚)と一緒に飼われていました。グアナコはパタゴニア地方(チリ)に生息しているし、レアはアルゼンチンに住むそうですから、南アメリカつながりといったところでしょうか。

 種の違う動物が仲良く一緒に飼われているのは、見ていてもほほえましいですね。

 右に向いて座っているのがグアナコ、左に向いて座っているのがレアです。もっと左にはレアの群れがいます。アメリカでは、レアは食肉用に飼育されたりするそうです。レアの肉はどんな味がするのでしょう?

 こんなところに、パンダがいました!それも、寒い中外に出て芝生の上でお昼寝をしています(左の写真)。

 芝生が生えた広い放飼場に寝ころぶパンダを見るのは、とても変な感じがしました。

 右の写真はパンダが寝返りをうっているシーン。この後、また寝てしまいました。

 キリンの展示です。この日は寒かったからか、全個体が屋内にいました。キリンは全部で数十頭いて、そう広くない展示場でひしめきあって餌を食べていました。
 写真には写っていませんが手前左手にキリンが群れています。

 何の工夫もない屋内展示場でしたが、壁に生息地の絵が描いてあるのはさすが芸術の都パリ!キリンの絵を描いている若者もいました。
 1頭のキリンが、絵を覗いていました。

 人が群がっていると思ったら、おじさんがヒグマにお菓子を与えていました。クマは手をあげたり、立ち上がったりして愛嬌を振りまいていました(左の写真)。

 このような光景は、日本でも海外でも同じようです。多くの動物園で、動物に勝手に餌を与えることを禁止していますが、それでも与える人が多くいます。
 動物園の動物、特にクマやサル類は退屈そうにしているので餌を与えたくなるのでしょう。それに、人間の動きに反応していろいろな動きを見せてくれるのも魅力なのかもしれません。しかし、餌やりは動物の健康を害したり、行動を歪めたりします。
 看板などをたてて観客のモラルに訴えるだけでは、解決しない問題だと思いました。

 右の写真はクマ用のハンモックです。動物園で、クマのエンリッチメントとしてよく使われている物です。このハンモックをぶら下げるとクマは喜んで使用します。
 日本の動物園では、このハンモックはまだあまり設置されていないようですが、これから普及すると良いと思います。

右の写真では、クマがハンモックで気持ちよさそうに寝ています

 オカピです。
屋内の飼育場にいました。ここの壁には、アフリカの絵が描いてありました。ちょうど、私はアフリカでチンパンジーの観察をした帰りだったので、背景のチンパンジーの絵に目が釘付けになりました。

 左側にチンパンジーの絵が描かれています。見えるかな?
絵の中のチンパンジーは、人用の道に出てきてくつろいでいる、おかしな奴らでした。
 イギリス・マーウェル動物園のオカピの展示場には、「オカピの存在が確認されたときの話」や「その生態について」などの詳しい説明がされていて、非常に勉強になります。

 ホッキョクグマが3頭いました。本物の倒木を入れたり、玩具を入れたりして飼育環境に工夫を加えているようでしたが、2頭が常同行動(意味もなく同じ行動を繰り返す)をしていました。ホッキョクグマをうまく飼育するのは難しいようです。

 常同行動をしないホッキョクグマについては、セントラルパーク動物園(アメリカ)の紹介ページを見て下さい。

 シロガオサキ(霊長類の仲間)がいました。両親と子どもの3個体がいました。子どもが、展示室に張られたロープをつたって遊びまわっていたので、面白かったです。

 サキは日本の動物園ではあまり見ないような気がします。海外の動物園では結構見るのですが、日本では、この顔が受け入れられないのでしょうか?

以上、パリ動物園の報告でした。

パリ市内から動物園まではメトロ(地下鉄)で、往復500円ぐらいで行けました。入場料は40フラン(約900円)です。シーズンオフだった(私が行ったのは1月だった)ため、園内の売店がほとんど閉まっていて何も買えなかったのは残念でした。

 やっぱりこの動物園で、記憶に残るのは65mの岩塔と擬岩を沢山使用した展示の数々です。特に、冬に行ったせいかそのコンクリートを風が吹きさらすことが多かったので、寒々しい動物園という印象が残りました。

左の写真は、ライオンの展示と岩塔。

 この動物園で一番良かったのは、ガイドブックです。この動物園にいるすべての動物について系統ごとに説明され、とても見やすい本になっています。学名から生息域、その動物の特徴が詳しく載っています(当然フランス語です。でも、頑張ってでも読みたくなるような本です)。

 左がガイドブックの表紙。A5判の大きさで76ページあります。1冊30フラン(約650円)で、この内容はお買い得!

 右がその中身。全ページカラーでとても綺麗です。体重や寿命、何を主食としているかなど、イラストでさりげなく説明してあるのもとってもGood!


公式ホームページはこちら http://perso.clubinternet.fr/albatros/vincenne.htm
シンプルですが住所・開園時間などの情報があります。

ご意見ご感想は、落合まで。


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