Dudley Zoological Gardens
ダドリー動物園


報告者は 落合知美
訪問日は、2009年6月8日(月)です。
それぞれの写真をクリックすれば大きい写真を見ることができます。

 6月6日にブリストル動物園(英国)、7日にダブリン動物園(アイルランド)を訪問して、見事(?)今回のイギリス・アイルランド旅行のもう1つの目的を果たしました!(目的の詳細については、ブリストル動物園紀行をみてください)。そして、1日フリーの日ができたので、行ってきたのが「ダドリー動物園」です。

 「ダドリー動物園」については予定を立てるまで「見たことも聞いたこともなかったのですが、イギリス政府観光庁の公式ホームページの「英国の動物園トップ10」には、6番目に紹介されています。「・・・11世紀の城跡が見下ろす動物園には、世界中から来た200種以上の動物が飼育され・・・」と記載され、私のお城好きアンテナにも引っ掛かりました!google mapで検索し、上空からも発見!森に囲まれた中央に壊れた建物があり、中央の芝生広場にその廃城のシルエットが浮かび上がっているではないですか!

 当日はブリストル駅を8時に出発し、バーミンガム・ニュー・ストリート駅で電車を乗り換え、「サンドウェル&ダドリー(Sandwell&Dudley)」駅で下車しました(左上写真)。ここからバスに乗るのですが、様々な行き先のバスが道路を走り去っていきます。どのバスかわからないので、適当に捕まえたバスで運転手さんに聞き、「87番のバスに乗り換えだよ」と教えてもらいました。Oldburyの街でバスを乗り換え「ダドリーバスステーション(Dudley Bus Station)」で下車し、無事到着です♪

 道路に面する正面入口は、立派な門構えでした(右写真)。でも、ここは現在閉鎖中で、右横にある小さな通用門が入口となっていました。写真右上のリフトも今は動いていないようです。入園料は、1ポンドの寄付金込みで11.9ポンド(約2000円)でした。


お城と動物園

 園内の岡の上ににそびえたつお城は崩れかけていて、おどろおどろしい雰囲気です。”お殿様”な感じの姫路市立動物園や、”キラキラ”なシェーンブルン動物園とは、まったく違います。

 1071年に建築が始まったというお城は、長い歴史を経て、現在は廃墟となっています。歴史の中には、栄光と陰謀、戦争や火事など、血生臭いものもあるそうで、建物内の展示室にはこうした歴史についての説明や、ゆかりの物が展示されていました。

写真左:崩れ落ちたお城。この空間は昔の食糧貯蔵庫で、ビールやワインなどが保管されていたそうです(解説板の説明より)。

 実際、イギリスの幽霊スポットとして有名な場所だそうで、、入口でもらう動物園地図には動物の給餌時間と一緒に「お城の幽霊ツアー」の時間も書かれています。また、夜に懐中電灯を持って動物園を訪問するツアーなどもあるそうです。

 

 そんな事情とはまったく関係なく、お城のある丘を囲むように動物たちの放飼場が並んでいます。動物園は1937年に設立され、翌年開園したそうで(歴史としては名古屋の東山動物園と同じぐらい)、建物のいくつかは”アール・デコ”としてイギリスの建築遺産に登録されているそうです。そのためか、全体的に”昔の動物園”感が漂います。ミーアキャットは、大砲が設置された要塞を背景に見張りをしていました(写真右)。 

 動物園の中央は、要塞に囲まれた広場となっています。ここは集合場所やピクニックスペースとして活用されていました(写真左)。また、この空間を利用して1日2回、フライングショーがおこなわれていました。私が見た時には、シロフクロウが広場の端から端へと移動するトレーニングをしていました。お城を背景にシロフクロウが羽をはばたかせる様子は、ハリー・ポッターの世界です♪(←映画でロンドン動物園が出てくるので見た。)


モンキーテイル Monkey Tail

 古い建物の一部を改修し、2007年にオープンしたのが「モンキーテイル」です。この動物園には珍しく、案内看板が緑と黄色でカラフルです(写真左)。

 楽しげな看板の割には、地味で重い入口のドアです。それをググッと開けると、中はやっと”最近の動物園”の雰囲気です。天井からは暖かい光が差し込み、うっそうと茂った緑の中に、ゲルディモンキーやリスザル、サキといった南米に住むサルたちが放し飼いにされています(写真右)。

  建物内の小道を進んでいくと、ガラスで仕切られた空間には、コツメカワウソやオオトカゲ、ミーアキャットが飼育されていました(写真左)。・・・って、生息域は完全にごちゃごちゃです!池には鯉も泳いでいます。

 とりあえず、暖かい場所にいそうな動物をすべてこの建物に入れたというような感じでした。建物も、よく見るとチンパンジー舎とつながっています。古い建物の一部の天井を抜いて、内側に格子を組み、ガラス張りの構造にしたようです。限定の多い中でのリニューアルだったことが想像できました。

写真右:建物の中で放し飼いになっていたサキ。


感想

 「キツネザルの森(Lemur Wood)」も、新しい展示でした(写真左)。メッシュの扉2枚を抜けると、目の前に森がひろがり、キツネザルが足元を横切ります。勾配のある小道を通ると4種のキツネザル(クロ、シロクロエリマキ、エリクビ、ワオ)に出会うことができます。ホームページによれば、この展示は、1エーカーの広大な空間を利用してダドリー動物園の飼育員がデザインしたものだそうです。

 「ディスカバリーセンター」には、さまざまな教材が置いてあり、教育にも力を入れている様子がうかがえました。年間パスポートや1日飼育員体験、それに幽霊ツアーの企画など、様々な運営的頑張りも感じられました。

 しかし、建物が古い上、建築遺産で大きな改修工事ができないという問題は深刻なようです。また、研究や保護活動も見えてきませんでした。そのため、全体的に「動物のコレクション」的雰囲気が漂っていました。イギリスには「動物園免許法」があり、動物園運営にはライセンスが必要です。また、動物愛護団体の活動も積極的です。実際、この動物園はボーンフリー財団やCAPSというイギリスの愛護団体からの批判を受け続けており、2003年には2個体のアフリカゾウがフランスの動物園に移動したそうです。

 イギリスにもこうした動物園があるということを知りました。一方で、すごく日本の動物園に似ている部分もあり、日本の動物園の今後についても考えた動物園でした。

写真右:広い空間で動き回るヤブイヌたち。


公式ホームページはこちら http://www.dudleyzoo.org.uk/home.htm
基本情報は、こちらをチェック。

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