Menagerie du Jardin des Plantes


報告者は 赤見理恵&赤見朋晃

訪れた日は 2000年11月30日です。


 

 パリのほぼ中心部にあるシャルダン・デ・プランツ。動物園史だけでなく生物学史でもとっても重要な位置をしめる施設なので、きっと聞いたことのある人も多いでしょう。

 世界ではじめて、「近代動物園」と呼ばれるだけの資質をそなえた動物園です。つまり、一部のえらい人々のコレクションというだけでなくて一般の人にも公開されていて、科学研究もされていて、そして何よりも、動物を長生きさせるだけの飼育技術があったということで、当時では信じられないような長生きをした動物がいたそうです。

 さて、パリの街を縦横無尽に走る地下鉄に乗って、Paris Austerlitz駅で下車すると、そこはパリの中でもちょっと雰囲気の違う、学問のにおいが漂う一角。日本で言ったら上野公園のような位置付けでしょうか。私たちの目指すメナージェリのほかにも、有名な国立自然史博物館、古生物館、昆虫館、植物園(薬草園)、児童館、図書館などの施設が集まっています。

 写真は、植物園の中央の、特に目を引く場所に建てられたラマルクの像。これまた生物学史に大きな軌跡を残した人物で、この植物園で研究をしていたんだって。今でも博物館などの建物に囲まれて、中心には整然とした植物園が広がっています。

 さて、目指すメナージェリですが、歴史上の偉大さとは裏腹に、入り口はこんなに質素。入園料の書いてある決して大きいとはいえない看板を見逃したら、通り過ぎてしまうような入り口でした。そして窓口も一つでこじんまりとしています。これにはちょっとびっくり、、、というか拍子抜け。
 中は、このように植物がうっそうと茂っていました。古い格子の檻も多いのですが、つる植物などに囲まれて木々と一体化しています。これもなんだか歴史を感じるなぁ〜。

 もちろん、檻の外だけでなくて、動物がいる檻の内部も緑がいっぱい。なんだか動物も、静かな園内でのんびりとしているように見えました。写真は、フクロウの展示。中央の立ち木に2羽がとまっています。

 ←はカピバラの展示。ここも草が茂っています。中型の草食動物は、みんなこんな感じの放飼場でした。さすがにヤギやウシの放飼場は草が食べ尽くされて、黄土色の土が露出していました。

 それから、なぜだかどの動物の小屋も、「厩舎」というよりは、「ちいさなかわいいお家」という感じの作りになっていて、模様や作りも凝った物ばかり。どして!?

→はフラミンゴとスケッチをする学生たち。園内にはちょうど一クラスくらいの人数の学生がいて、動物を観察しながらスケッチをしていました。さすがは芸術の都。

 日本だと動物園でスケッチをしているのは幼稚園児か小学生ばかりですが、こっちに来てからは大学生以上でスケッチをしている人を良く見かけます。

これは、霊長類を主に展示している「FAUVERIE」という建物。左の写真は入り口。建物と言っても、動物達はいつも屋内にいるわけではなく、建物の周囲は右の写真の様に屋外展示で囲まれています。そうです。どの動物も、建物の壁に面して、屋内と屋外の両方を行き来できるのです。
 このタイプは日本でも、タマリンなどの小型霊長類の展示では良く見かけます。

 しかし、室内はまるで博物館のよう。レンガ作りの荘厳な建物に、ガラスをはめ込んだ展示ケース。でもケースの中は動物達が動き回っています。個々のスペースはあまり広くはありませんが、ロープなどを多用して狭いスペースを立体的に活用できるように工夫してありました。

これはまた別の建物の内部。こちらはライオンなどの食肉目が、霊長類と同じように室内と屋内に展示されていました。

 大迫力の雄ライオンを目と鼻の先で観察しているこの人は、かなり大掛かりな台などを持ち出して、ライオンの立体像制作の真っ最中!!飼育の人が時々出てきて、ライオンの話(たぶんそんな雰囲気)をしたりしていました。

 こちらは、「REPTILES」という建物。つまり爬虫類館です。ここは一番驚きました。だって、写真で見えるような、古〜い大学の標本展示ケースのようなケージに、大きなニシキヘビとかイグアナとかが入っている、、、。歴史の重みが感じられて良いんだけど、時々ギシギシ音がしたり、ちょっと隙間が空いていたりするのには勘弁してほしかったです。
 こちらはまた別の建物「MICROZOO」です。かなり博物館的な展示で、微生物に関する解説パネルや標本の展示、そして常駐スタッフが一人お客さんの相手をしてくれて、顕微鏡で微生物を見るコーナーの使い方を説明してくれました。フランス語わからなかったけど、、、。
ということで、とにかく歴史の重みがにじみ出ている動物園でした。あまり広くないので、2時間くらいでちょっと散歩するにはもってこい。それから狭い分バックヤードがあまりないのか、通路で飼育係さんを何度も見かけました。フランス語が話せたら、おしゃべりできるチャンスもいっぱいあります。自然史博物館などの見学のついでに立ち寄ってみるのもおすすめ。または、スケッチブックを小脇に抱えて、パリの芸術家を気取ってみるのも良いかも。
暗くなってきた帰り際にシャルダン・デ・プランツ内の片隅に、こんなものを見つけました。そう、メリーゴーランドの動物いろいろ版。ウマだけでなく、ダチョウやキリン、そしてカメまで乗れます。この中であえてカメに乗るとは、、、、。

ご意見ご感想は、赤見理恵&赤見朋晃まで。


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