カールスルーエ動物園
Zoo Karlsruhe Stadtgarten


報告者は 赤見理恵&赤見朋晃

訪れた日は 2004年5月22日です。



カールスルーエは、ドイツ南西部のそれほど大きくない街。どうしてこの街の動物園に行くことにしたのか、と言いいますと、ベルリンやミュンヘンなど大きな動物園でなく、日本にも多くあるような普通の動物園を見たかったからです。旅行行程上の問題もありますけどね(→事情はこちらの旅行記参照 http://www.edutainments.net/blog/archives/cat_trip.html

動物園は、なんと駅の真正面にあります。車で行った私たちは、駐車場に苦労しました。結局路上駐車場を利用したんですが、動物園に1日中いるという人は稀らしく最高利用時間が3時間。仕方が無いので、途中で動物園を一度出て再度お金を払うことにしました。

カールスルーエ動物園は、園内の中央に大きな池があり、そこから引かれた小川があちこちを流れる、平坦な地形の動物園です。園内にはたくさんのカモやクジャクが放し飼いにされていて、動物舎のない公園ゾーンや大木に囲まれた心地よい道、ピクニックに最適な広場など、その名の通り都市公園としてとっても良い雰囲気の動物園でした。

□タマリン楽しそう
ヨーロッパの動物園でもかなりの人気をほこるタマリン。ここにいたのはワタボウシパンシェとスプリングタマリン(和名これでいいのかな?)でした。サルのことをAFFENと言うのですが、子どもたちも口々にアッフェン!アッフェン!といって喜んでいました。この地方は私たちが訪れた5月でもまだ空気はひんやりしている(でも天気は快晴ばかり!)ので、タマリンももちろん屋内の施設にいます。ガラス張りの中は枝やツルが組んであり、中には葉がたくさんついた枝もありました。ちょうどよく撓るので、タマリンが木から木へ飛び移ると、葉のついた枝がわさわさと揺れて、とてもよい感じです。

ふと背後をみると、屋外に金網でできた檻があります。そして頭上には金網の通路が、、、。ははぁん。なるほど。屋内と屋外が細い通路で繋がっていて、タマリンは自由に行き来できるという仕組みですね。実際すこし観察していると、追いかけっこをしていた2匹が通路を伝って屋外へ行き、屋外の折の中でしばらく走り回っていました。

他の動物についても、必ずと言ってよいほど屋内放飼場と屋内放飼場の両方が来園者に公開されていて、寒い冬や雨の日なども動物が見られるようになっています。そしてほとんどの動物(チンパンジーやネコ科動物など。キリンやゾウ、カバなどは仕切ってありました。)が屋内と屋外を自由に使えるようになっていました。

□手作り&移動式看板
園内所々に、工事現場の看板のような簡単な自立式の看板が置いてあって、そこに解説が書いてありました。これがなかなか、痒いところに手が届く解説になっています。

アジアゾウ舎の前には「Warum 2 Meter Russel?(なぜ鼻が2メートルもあるの?) Hallo Kinder!」と書かれた看板があって、ゾウが鼻をどのようにして使っているかが解説されていました。こういった一般的な解説もあれば、ユキヒョウ舎の前には、2003年5月15日に生まれた子どもがいるようで、“Ranschan”という名前とともに育っていく様子が写真付きで説明されていました。またキリン舎の前でも、Oranyaという2001年10月3日生まれの個体が、2003年4月15日にアムステルダムに引っ越したことについて、移送中の写真入で詳しく解説されていました。

これ、とっても簡単な解説板ながら、自由にどこにでも置けるし、中も簡単に入れ替えられそうで、とっても良いアイデアだなーと思いました。ただ、園内がすごく混雑するような動物園にはオススメじゃないかも。蹴ったりつまづいたりしそうです。

□小山の上には、、、、

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園内は全体的に平坦ですが、中央に小山があります。園内マップをみると、その小山をくるくるとらせん状に登っていく園路があって、頂上に何かが書いてあります。日本だと、こういうところって大体サル山がありますよね?よしっ、ということで登ってみることにしました。途中、周辺で見られる野鳥の解説や、園が設置している巣箱の種類について実物をずらーっと壁に付けて見せていたり、新しくできたホッキョクグマ舎を上部から眺められるようになっていたりと、飽きない仕掛けがたくさん。でも坂はつらーい。

やっと頂上近くになってきたら、なにやら石積みが見えてきました。その上には階段が、、、。あれー?動物舎は?実は動物がいるのではなく、展望台だったんです。がんばって登った苦労は一体、、、。でも展望台からの景色はなかなかでした。カールスルーエの駅とたくさんの線路、オレンジ色の屋根がきれいに並んだ町並み、針葉樹の多い森(まさに「フォーレスト」といった感じ!)などなど。期待はずれではありましたが、満足して小山を降りました。

□ホッキョクグマの展示がすごい!
ここの動物園の目玉は、なんといっても新しくできたホッキョクグマの展示です。他の動物の展示に比べてもべらぼうに大きな施設で、計6個体が飼育されていました。2つある放飼場は広大で、芝生や砂の部分、高低差、視界をさえぎるスペースなどもあり、プールも深くて大きいです。もう1つある放飼場も結構広め。来園者はガラス越しに地上と水中を両方見ることができます。

ちょうど私たちが小山からホッキョクグマ舎の方に下りていくと、子どものラクダを引いた飼育係さんがおなじく小山から下りてきました。そのままホッキョクグマ舎の横を通ると、それに気がついたホッキョクグマたちが、もう大変。「なにそいつ!」「なんだなんだ!?」とばかり、大騒ぎ。少しでも近くでラクダを見ようと、走り回るわ、立ち上がるわ、とっても盛り上がっていました。

子ラクダの散歩は、ホッキョクグマのエンリッチメントでもあったんですね。(たぶん計らずともだと思いますが、、、、)

見ていた時間は合計して30分ほどでしたが、その間、ずっと活動的だったにもかかわらず、一度も常同行動を見なかった!!これ、ホッキョクグマとしてはすごいですよね。

□カールスルーエのペンギンたち
フンボルトペンギン&マゼランペンギン&アザラシ。なんとこれらが同居してました!!
アザラシと同居っていうのはほんの数件みたことありますが、やっぱりめずらしいです。私が見たときは、アザラシはプールでプカプカ、ペンギンたちは陸場で寝転ぶといった具合に住み分けていました。餌の時間にペンギンたちが群泳しはじめたら、どうなるんだろう!?見てみたーい!!

そしてフンボとマゼランの同居というのは、一見問題なさそうで、実は大きな問題が、、、。彼らは異種といっても同属なので、時々間違えてペアを組んで、種間雑種が生まれちゃうことがあるんです。なので日本では、フンボルト属は混合飼育しないことになってるんですが、、、。大丈夫なのか聞いてみたかったんですが、キーパーさんが近くにおらず諦めました。残念無念。

小さな動物園ながら、なかなか良い所でした。とにかく、手作りの看板が多いのが好印象です。工事現場っぽい移動式看板に限らず、あちこちに“紙にプリントアウトしてパウチ”方式の簡単な解説パネルが掲示してありました。写真入りできれいにレイアウトしてあるものから、ちょっと情報詰め込みすぎちゃった感じのものまで、作った人の個性が見えちゃいます。個体の細かな情報から、生息地のこと、進化のことなど、様々なテーマで作られていました。

そして季節のせいかまだ暑くなく、でもお日様がポカポカして気持ちよかった!!あとはショップと駐車場さえ整備してくれてば、言うことなしの動物園でした。

カールスルーエ動物園の公式サイトはこちら↓
http://www.karlsruhe.de/Zoo/

 


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