本園には、室内展示が2つあります。その1つが「熱帯雨林」です。
扉をくぐるとそこは熱帯のジャングルの中。天窓から太陽光が降り注ぐ室内には、8mを越える大木がそびえたちます。天井からは定期的に霧が噴出されているので湿度は高く、緑の匂いがムッと立ちこめます。
その建物の中では、トリやコウモリなどの動物たちが放し飼いになっています。絶滅が心配されているカンムリシロムクなどもいます。地上には、マメジカやガチョウ、カメがくつろいでいます。
壁にも緑が施されています。ウッドデッキの通路はくねり、その先になにがあるのか進んでみないと分かりません。頭上にはツル植物が垂れています。流れる水の音と鳥たちの鳴き声が聞こえます。そんな環境は、自分が今、マンハッタンのちょっとした建物の中にいることを忘れさせます。
写真左:壁面の緑化の方法。コルクをゴムリングで縛り付けています。
途中には階段があります。それをのぼると、また違った視点で室内の緑やその中に潜む動物たちを見ることができます。滝の近くでは、トリが水しぶきにあたって涼んでいました。
通路を進むとビニールのカーテンがあり、それをくぐると少し暗い空間があります。そこでは、カエルやヘビ、トカゲ、マーモセットやタマリンなどが飼育されています。比較的小さなガラスの中なのですが、ツル植物を左右上下に渡すなど緑をたくさん配置し、手のこんだ雰囲気作りをしてあります。マーモセットの飼育場の少し高い位置には、芝生のシートが設置されていました。動物たちはそこから小さな穀物を、器用に拾い上げて食べています。どうやらこれは、食べ物を手に入れにくくすることで採食時間を増やす、「採食エンリッチメント」の1つのようです。
通路のあちこちには、熱帯雨林の環境や動物の多様性について解説した看板もあり、あまり大きくない建物自体をフル活用した工夫が随所にみられました。
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