Prospect Park Zoo
プロスペクトパーク動物園


報告者は 落合知美
訪問日は、2005年7月28日(木)です。

それぞれの写真をクリックすれば大きい写真を見ることができます。


 プロスペクトパーク動物園は、アメリカニューヨーク市のブルックリンと呼ばれる地域(マンハッタンからイースト川をはさんで東側)にある動物園です。マンハッタンから地下鉄B、Q線に乗って「Prospect Park」駅で降り、道路を横切ってプロスペクト公園に入ったところにあります。プロスペクト公園は、セントラルパークと同じ造園家らにより設計された総面積約2.13k屬△觚園で、園内にはブルックリン美術館や植物園、湖などがあります。動物園はその公園中央やや東寄り、植物園の南側に位置します。

 この動物園は、ブロンクス動物園やセントラルパーク動物園と同じWCSによって運営されています。12エーカー(約5ha)の敷地に100種の動物を飼育しています。ライオンやゾウ、キリンなど、動物園にお決まりの大型の動物はいないのですが、建物ごとに明確な展示テーマがあり、ボランティアなどの市民活動が活発で、園全体に活気がありました。園内の雰囲気は、「楽しみ学ぶ身近な動物園」という感じでした。私は、今回始めて訪れたのですが、WCSが運営する4つの動物園の中で一番好きな動物園でした。

 園内は、アシカの水槽を半円形に取り囲むように3つの建物があります(右上の写真参照)。建物それぞれには、「身近な動物たち」「動物たちの生活」「世界の動物たち」といった名前がつけられ、それぞれの建物とその奥の小道沿いに、さまざまな動物たちが飼育されています。


身近な動物たち Animals in our lives

 まずは、「身近な動物たち」という建物に入ってみました。テーマは「色」のようです。「ひきつける」「警告する」「隠れる」の3つの看板がありました。魚や昆虫、ヘビ、カエル、鳥など、小型の動物を中心にさまざまな動物が飼育されていました。

 それぞれの動物を見て、色を確認し、その色が自然界でどのような意味があるのか考えさせる展示のようです。毒があるカエルの水槽には、「危険!」と書かれた黄色のテープが張り巡らせられるなど、デコレーションも工夫しています。また、赤、青、緑のカエルの形をした鏡に自分の姿を映す場所があったりします。いろいろな形で楽しめる雰囲気作りがされていました。ボランティアと思われるスタッフは、同じポロシャツを着ていていろいろな場所で、質問に答えてくれたり、イベントをしたりしていました。

写真右:ボランティアさんが、箸やスプーン、ストローなどを使って、動物の餌のとり方について解説していました。

 建物を出ると、そこは家畜が飼育されるふれあい動物園になっていました。

 とある一角には、ジャージー種やホルスタイン種の絵が描かれているウシの人形が置いてありました。模擬乳搾り体験ができるのです。ゴム手袋で作られたお乳を親指と人差し指で搾れば、先の穴からミルクに似せた液体が出てきます。小さい女の子がしきりにチャレンジしていました(左写真)。

 家畜小屋をまねて作られた舞台では、お兄さんたちが動物の歌を歌ったりしていました。とても上手で、まるでセサミストリートを見ているよう・・・。活気のある空間で、子供たちは目を輝かせてそれに参加していました。

もちろん、ここでは家畜に餌を与えることもできます。農家や庭園を通って先に進めば、アシカのいる広場に戻りました。


動物たちの生活 Animal lifestyles

 2番目の建物は、「動物たちの生活」です。建物に入ると「空中」と書かれた窓のむこうには鳥たちが、「水中」には魚たちが、「陸上」には哺乳類(ケープハイラックス)がいました。建物の中の同じような窓の向こうに、それぞれの空間にすむそれぞれの動物たちが飼育されているのを見るのは少し不思議な気分です。

 どうやら、ここでは動物の生活空間に焦点をあてた展示をしているようです。手前の「森林」と書かれた部分にはタマリンが、「砂漠」と書かれた部分にはエジプトリクガメがいました。

 奥に入っていくと、比較的広い放飼場にヒヒがおり、ゆっくり座ってガラス越しにその様子を眺められるようになっていました。

 

動物の世界 World of Animals


 
最後の建物は、「世界の動物」です。建物を通り抜けると、まずはプレーリードックの放飼場がありました。放飼場の中には、アクリルでできた半球が飛び出ており、そこから顔をのぞかせると、プレーリードックが間近で見られるという構造です。このような構造は、日本の動物園でも見たことがあるのですが、この動物園のアクリルドームは5個もあり、子供たちがそれぞれからひょこひょこ顔を出すので、まるでもぐらたたきゲームのようでした。

 私も中に入ってみましたが、裏側はまるで地中の穴に潜っていくような作りです。穴もいろいろな方向に向かっていて、途中で分岐していたり、地上のどこにも顔を出せない穴もあったりします。すっかりプレーリードックになった気分でした。本物のプレーリードックの横で、こうした体験をすることは面白いし、実際にこうした体験から「狭い上り坂をあがるのに、(人間の)この体型は不利!」なんて思ったりすることは、環境教育になるのでは?と思いました。日本の動物園でも、ここまでのものを作って欲しいなぁと思いました。

 プレーリードックの展示から先に進むと、カメや水鳥がいる池がありました。緑が生い茂り、その間を抜けるように小道がのびています。深さのない浅い池の水面には、人工の葉が浮いていて、浮葉の上を飛んで渡ることができます。道の脇には、巨大な卵の殻が置かれていたので、さっそく記念撮影をしました(左写真。孵化したばっかりの気分?!)こうした、随所にある工夫は子供だけでなく、大人でも楽しめます。

 ワラビーがいる放飼場の近くには、走り幅跳びのできる砂場が用意されていました(右写真)。横にある看板はメジャーになっていて、「1mはノミ、2mはコオロギ、3mはバッタ、4mはウサギ・・・」と、動物たちがだいたい跳べる幅が書かれています。子供たちは、競ってジャンプをしていました(狙いは、4mのウサギらしい・・・。)。なお、ワラビーは12mでその中で最も長い距離になっています。

 その先には、エミューやレッサーパンダ、アメリカヤマアラシ、コツメカワウソなど、世界各地の動物が飼育されていました。


アシカの給餌 Sea Lion

 中央の広場では、1日3回決まった時間にアシカの給餌がおこなわれています。上記3つの建物は、アシカの放飼場を取り囲むように建てられているので、アシカの給餌がおこなわれる時間には、建物からぞくぞくと人が出てきました。

 給餌は、健康管理も兼ねていて、3個体のアシカに3人の飼育員がついて、倒立、発声、水中への飛び込み、回転、手を振るなどをおこなわせます。少しショー仕立てではあるのですが、必ずしも強制しているわけではなく、3個体それぞれの性格や能力にあわせている感じが見ていても良くわかって、楽しかったです。

 


感想

 「動物園の1つのあり方がここにあった」と感じた動物園でした。なにが良かったかというと、やはり身近で、安心して、心温かくして、楽しめるという雰囲気です。ボランティアさんは園内いたるところにいて活気があり、動物も、「すごいものを見せられる」(ブロンクスはこれ)ではなく、「近くに動物がいる」(あくまで心理的に)というかんじでした。ただ、写真ではその雰囲気が伝わりきれないのが残念です。

 とりあえず、おすすめの動物園ですので、ニューヨークに行く際にはぜひ訪れてみてください。


公式ホームページはこちら http://www.prospectparkzoo.com
基本情報は、こちらをチェック。

ご意見ご感想は、落合まで。


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