HOME > 動物たちの豊かな暮らし > エンリッチメント大賞 > 2016年度
メールニュース
市民ZOOネットワークのイベント情報や動物関連情報をお知らせ!
詳しくはこちら
name
mail
サポーター募集
出版物&オリジナルグッズ

動物たちの豊かな暮らし

エンリッチメント大賞 2016

「エンリッチメント大賞2016」
― エンリッチメントに「まるごと」取り組む ―


 15回目となるエンリッチメント大賞の授賞園が決定しました!今年は、31件の取り組みに対して53通の応募があり、そのうち9件が一次審査(書類選考)を通過しました。スタッフによる現地調査の後、10月8日に審査委員による二次審査(審査委員会)を開催し、その結果として大賞2件が選ばれました。
 大賞を受賞したのは、大牟田市動物園(福岡県)と日立市かみね動物園(茨城県)です。どちらも、現在、勢いが感じられる動物園です。大牟田市動物園は、明確な目標設定とそれに向かう行動力、そして積極的な情報公開など、それらがすべて動物の幸せにつながっていることが評価されました。日立市かみね動物園は多様な動物種にエンリッチメントを実施し、そこに市民が参加できる機会を設け、同時に組織としての支援体制をつくっていることが評価されました。
 今回の授賞は、特定の動物種への取り組みを評価するものではなく、園全体の環境エンリッチメントの実施内容と実施体制を評価したものとなりました。環境エンリッチメントは、それぞれの現場で実施するものですが、その支援体制はとても重要です。この2園は、時には今までの動物園の常識を覆すような新しい取り組みにも挑戦していますが、その挑戦を園全体で支援しています。ホームページやSNSなどを使った積極的な情報公開をおこない、市民や専門家が関わりやすく、一緒になって取り組みを支援する体制が取られています。これまでは、現場の飼育担当者の大変な努力で環境エンリッチメントが実施されてきましたが、今回、このように組織としてエンリッチメントに取り組む2園が現れたことで、審査委員からは、「日本の動物園におけるエンリッチメントの“新たな時代の幕開け”のようだ」との感想もありました。
 今後も、動物たちの幸せな暮らしを追求し続ける取り組みに期待したいと思います。

> 募集の詳細はこちら(募集終了)
> 応募総数と審査方法
> 全応募はこちら[.pdf 82KB]
> 一次審査を通過した取り組みについて
> 表彰式・受賞者講演会の情報はこちら


大賞

みんなでエンリッチメント!!〜実践・継続・発展・発信〜
(大牟田市動物園)


【審査委員コメント】
 積極的な情報公開やメディアへの露出などにより飛躍的に知名度を上昇させており、現在もっとも勢いを感じさせる動物園の一つかもしれません。今回の自薦応募として提出された文書は、一次審査の時点で審査委員を圧倒させ、注目を集めていました。園全体での取り組みを自ら「実践・継続・発展・発信」と表現していることからも、環境エンリッチメントの重要性を正しく認識し、努力されていることがわかります。
 大牟田市動物園は、飼育担当者11名と獣医師2名の、地方都市の小さな動物園ですが、“動物福祉に配慮した科学的な飼育管理”を掲げ、積極的にエンリッチメントを取り入れています。特定の担当者や動物種に限定されがちな現状を問題視し、園全体で幅広くエンリッチメントを取り入れ、取り組みが一過性にならないような体制作りをおこなっています。エンリッチメントの実施内容の共有化や客観的な評価のため、海外の例に倣い、園内で実施するエンリッチメントのリスト化を始めました。「環境エンリッチメントツール登録票」は写真付きで目的・機能や設置頻度などが簡潔に記載されており、瞬時にツールの特性を把握できます。登録時には、園長・倫理福祉委員長・獣医師の確認を得る必要があり、エンリッチメント実施後には評価リストも作成されます。月1回、園内でエンリッチメント会議を実施し、全職員でのディスカッションがおこなわれます。
 ハズバンダリートレーニングの導入による個体の健康管理にも取り組み、マンドリル、サバンナモンキー、ライオン、トラ等での無保定採血の実績を挙げました。ストレス軽減や健康維持などの点で動物福祉に直結すると同時に、それ自体も動物の社会的行動を発現させるエンリッチメントととらえて実施しています。さらに、老齢個体の細やかな病状や、詳細な血液データなども公開しています。
 明確な目標設定とそれに向かう行動力、そして積極的な情報公開を評価しました。今後、それらの取り組みが動物の福祉につながっていることを科学的に検証し、実施内容に対する適切なフィードバックがなされていくことを期待します。

大牟田市動物園(おおむたしどうぶつえん)
http://www.omutazoo.org/
〒836-0871 福岡県大牟田市昭和町163番地
TEL:0944-56-4526

>応募内容 >受賞の声

ページトップへ

大賞

総合的な取り組みと市民参加によるサポート体制の構築
(日立市かみね動物園)


【審査委員コメント】
 かみね動物園で飼育されている複数の動物種へのエンリッチメントに対して、自薦他薦含め複数の応募がありました。審査の結果、個々に実施されるエンリッチメントはもちろんながら、園長の強力なバックアップにくわえ市民も参加して現場の取り組みをサポートする体制そのものが評価の対象とされました。
 かみね動物園では「エンリッチメントは失敗を恐れずに!」の精神のもと、70以上の取り組みがおこなわれています。カバでは、落ち葉や浮草の投入や丸太の設置により新たな採餌・遊びの行動を引き出したり、高齢個体のためプールの水量を増やしたり水底に砂を敷き段差をなくすなどして足への負担を軽減させました。カワウソでは、狭い施設でのイキイキ計画として、棒や筒、カップ、タッパーを用いた採餌の工夫など11の取り組みの中から毎日2〜3つのエンリッチメントをランダムに実施しています。カピバラでは運動場に草を繁茂させ、草を倒す、引き抜くなど新たな行動を引き出し、チンパンジーではトレーニングに獣医師も参加することでストレスなく治療が受けられるようにもなりました。
 さらに、「楽しく入って、学んで出られる動物園」をモットーに、カワウソのエンリッチメントのアイデア募集やチンパンジー放飼場の植樹祭、ネズミの遊具を作るワークショップなどを開催しました。これらのイベントや動物園ブログ、展示場の掲示物などにより、環境エンリッチメントについての市民の理解を深めるとともに、職員と来園者が一緒に動物の幸せを考える環境ができました。
 以前は「古く老朽化した地方の動物園」という印象が拭いきれませんでしたが、近年の地道な取り組みとそれを支援する組織づくりにより、園の雰囲気はまったく別のものになりました。エンリッチメントをガイドやイベントに活かす来園者参加型の取り組みを実施し、市民のエンリッチメントの理解の向上に努めている点でも、かみね動物園の取り組みが国内の動物園のモデルケースになることを期待します。

日立市かみね動物園(ひたちし かみねどうぶつえん)
http://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/
〒317-0055 茨城県日立市宮田町5丁目2-22
TEL:0294-22-5586

>応募内容 >受賞の声


 惜しくも受賞にはいたらなかった取り組みについても、それぞれが動物たちの幸せのために工夫を凝らしたものでした。これらについても適宜エンリッチメント図鑑でご紹介していきますので、あわせてご覧ください。

 市民ZOOネットワークでは、環境エンリッチメントの試みを、市民が理解し、評価し、応援する社会づくりを目指し、今後もエンリッチメント大賞を継続していきたいと思っています。

ページトップへ