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動物たちの豊かな暮らし

エンリッチメント大賞 2018 一次審査を通過した取り組みについて

今回受賞した3件のほか、以下の8件が一次審査を通過しました。
「海鳥の採食エンリッチメント」葛西臨海水族園
   ウミガラスとエトピリカの給餌方法に変化を加えることで、水中や水面での活動時間を増やし、趾瘤症予防をはかった採食エンリッチメントです。目視調査が困難な状況下、バイオロギング法を用いてデータを収集するなど、その新規性と科学的手法が高く評価されました。明確に目的を設定し、研究機関と協力してエンリッチメント効果を分析するという点も素晴らしいです。今後の調査により、動物福祉への貢献がより明確になることを期待します。
「アジアゾウの寝室へのオガクズ導入」よこはま動物園ズーラシア
   重い体を維持するゾウにとって、足の健康は生死に関わる問題ですが、飼育下では多くの個体が大小のトラブルを持っています。そうした現状を改善するため、情報収集や環境改善など3年の準備期間を経て、寝室の一部にオガクズを導入しました。ゾウは初日からその場所を使い、早朝の常同行動も減少しました。多角的観察データを蓄積・検証しながらチームで取り組む様子は、高く評価できます。日本の他の飼育園への普及が望まれる取り組みです。
「オオアタマガメの立体的な行動の展示を目指した取り組み」世界淡水魚水族館 アクア・トトぎふ
   3種のカメにハズバンダリートレーニングを実施することで、活動性を高め、野生でおこなっている行動を引き出しました。爬虫類でも特に淡水生カメのトレーニングはあまり例がなく、その知識と試みについて高く評価されました。定量的な観察データがないため、本当にカメの福祉向上につながるのかについては評価できませんが、今後このようなトレーニングを使って個体に負担をかけることなく体調管理ができる可能性が期待されます。
「福祉向上を目的としたテナガザル異種ペア成立の取り組み」公益財団法人日本モンキーセンター
   単独飼育されたテナガザルの福祉向上を目的として、異種のテナガザルでペア形成を試み、2組で成功しました。ペア形成時には、性格の把握、環境の整備、段階的な同居手順など、必要で細やかな手続きが取られ、同居後は、相互グルーミングやデュエットなどの行動が発現できています。本来、雌雄ペア型の社会で暮らすテナガザルを単独飼育すべきではなく、緊急的な措置と期待できるほか、今後飼育頭数が減少する動物種に対し検討すべき方法と考えられます。
「レッサースローロリスの飼育環境改善」公益財団法人日本モンキーセンター
   密輸から保護され非公開施設で飼育されるスローロリスの福祉に注目し、科学的根拠を織り交ぜながら様々なエンリッチメントを実施する熱意と努力が評価されました。個体あたりの飼育空間の狭さ、ストレスの高さを、綿密な計算や専門的測定により明らかにし、単独生活と言われるスローロリス類の同性での共同生活を例に、同居を試みています。給餌内容を改善して、口内疾患や肥満の予防にも貢献しました。これらの活動が、スローロリスの保全につながっていくことを期待します。
「守れ!イチモンジタナゴ!!プロジェクト」京都市動物園
   地元水系に生息する希少淡水魚、イチモンジタナゴの飼育下繁殖と動物園内への導入を目指し、地域住民を巻き込んで活動しています。細やかな調査結果にもとづいて、野生環境と近い飼育環境を園内に再現し、繁殖に成功した点が高く評価されました。水質調査や産卵に必要な二枚貝の育成、外来生物の駆除など、様々な環境要素についても検討され、対応されています。こうした取り組みは、今後、全国の動物園でも取り組むべき課題でもあり、科学的評価をもとにした飼育技術の確立を期待します。
「小動物ゾーンの混合飼育」福山市立動物園
   ケープハイラックスとボタンインコ、パルマヤマワラビーとワライカワセミなど、隣接する4つのケージ内で鳥類と小型哺乳類の混合飼育を試み、行動の多様化や社会的交渉の増加、繁殖成功などの効果をあげていることが評価されました。従来型の檻展示ですが、木や消防ホースなどを使った縦空間の有効利用、フィーダ―やトレーニングなどによる適度な刺激など、細やかな工夫や心遣いを随所におこなっています。今回の質の高い複数の応募からも、これらの活動が支持されていることがわかります。
「Wild meǽt Zoo 〜駆除された動物を動物園のご馳走に〜」大牟田市動物園
   有害駆除動物を動物園での餌に利用し、野生本来の採食行動の発現や、採食時間の延長を狙った取り組みです。ライオンとトラにヤクシカの屠体を与えると、咥えて運んだりするなど普段見られない行動が発現し、採食時間は3時間以上になりました。この試みは、野生動物に関わる諸問題と動物園のエンリッチメントを融合させた取り組みとして、審査委員の注目が集まりました。今後、感染症対策などの安全性の確認と、行動調査などによるエンリッチメントの評価が期待されます。
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