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動物たちの豊かな暮らし

エンリッチメント大賞 2021 一次審査を通過した取り組みについて

今回受賞した2件のほか、以下の6件が一次審査を通過しました。
盛岡市動物公園ZOOMO:アフリカゾウの福祉向上のための取り組みと 産学連携による自動給餌機の開発
   オス個体の死亡により単独飼育となっているメスの「マオ」の福祉向上のため、放飼場での採食場所の増設、寝室での自動給餌器の設置により、採食時間の延長や常同行動の軽減を図りました。室内外共にカメラで行動を記録し、その結果に合わせて取り組みの改善を繰り返している姿勢は高く評価できます。いっぽうで、特に繁殖適齢期のゾウの単独飼育については、動物福祉上厳しい視線が向けられます。今後、長年にわたってマオがゾウとして心身ともに健康な暮らしを続けるには何をすべきかを考え、実行に移すことができれば、この取り組みの説得力も高まるでしょう。
狭山市立智光山公園こども動物園:カワウソ、サル山のエンリッチメントとペンギンビーチの制作
   小さな動物園ですが、園内の各所に「動物のため」の取り組みが見られます。小回りの良さを生かし、飼育現場のアイディアがすぐに園長まで共有され、エンリッチメントとして実施されています。特に、ケープペンギンを飼育するペンギンビーチでは、市販のポンプによる造波装置などのさまざまな工夫がみられ好印象でした。エンリッチメントとしては“王道”なものが多く、効果測定や科学的評価というプロセスが伴うとさらに有意義な取り組みとなると考えます。(審査上、応募3通分を1件として取り扱いました)
東京都井の頭自然文化園:縦横無尽に駆け回る「リスの小径」
   「リスの小径」は、ニホンリスの飼育・繁殖・展示技術を確立させることを目的に作られた施設です。自然に似た小さな森ともいえる施設内は縦横無尽に動き回ることができ、貯食や巣作りなどニホンリス本来の行動もみられます。ニホンリスにとって良い環境を提供し、動物園では軽視されがちな在来種を広いスペースで飼育している点が評価されました。今後もニホンリスにとって快適な空間であり続けるとともに、全体だけでなく、個体の福祉に寄りそった取り組みや定量的な評価の実施に期待します。
横浜市立野毛山動物園:できることからコツコツと 〜動物福祉向上に向けた取り組み〜
   決して広いとは言えない飼育施設においても、行動の選択肢が広がるような工夫をさまざまな動物で実施しています。運営団体の計画における「エンリッチメント」の明記や、管理職と現場の細やかなコミュニケーションなど、組織的にエンリッチメントに取り組み複数の動物種で展開している点は、エンリッチメントの“王道”として評価できます。今後、こうした組織的な取り組みが明確な成果となって表れれば、より高い評価となることでしょう。
大牟田市動物園:ゴマフアザラシの踊り食いフィーダー
   ケーシング(ソーセージを包む薄い膜)を用いて水道のゴムホースに魚をくくりつけ、その後プールに入れるとともに水を勢いよく放出。プールの中でホースが不規則に動きそれをアザラシが追いかけるという仕組みです。アザラシの捕食行動を引き出すおもしろいアイディアで、身体的・認知的刺激としてはプラスと考えられますが、採食時間の延長には明確な効果が確認できませんでした。さらなる工夫により、採食時間の延長や行動パターンの多様化につなげられることを期待したいと思います。
鹿児島市平川動物公園:コアラの累代飼育と新展示への試み
   鹿児島の温暖な気候を生かし、コアラの餌となるユーカリの栽培・採取から給餌までのすべてを飼育担当者がおこなっています。8世代目となる累代飼育が実現できているのは、動物にとって良い飼育環境を提供できていることの証左だといえるでしょう。コアラたちにとって「何が良いのか」を科学的に評価・検証することで、動物福祉への貢献がより明確になることを期待します。新施設については動物福祉の向上について結果が出ておらず、その評価ができませんでした。今後も引き続き注目していきたい取り組みです。
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