エンリッチメントとは?
みなさんは「環境エンリッチメント」という言葉をきいたことがありますか?
環境エンリッチメント(environmental enrichment)とは、「動物福祉の立場から、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策」のことを指します。
動物園での飼育環境は、動物たちが長年かけて適応してきた本来の生息地の環境と比較すると、どうしても、狭く、単純で、変化が少ないものになりがちです。そこで、こうした飼育環境に工夫を加えて、環境(environmental)を豊かで充実(enrich)したものにしようという試みが環境エンリッチメントなのです。
エンリッチメントの重要性を理解することで、動物園での動物たちの暮らしについて少しでも皆さんに考えていただきたいと思います。
エンリッチメント大賞とは?
エンリッチメントに取り組む動物園や飼育担当者を応援すると同時に、来園者である市民がエンリッチメントを正しく理解・評価することにより、市民と動物園をつなぎ、市民の動物園に対する意識を高めることを目指して、2002年度より実施しています。
来園者・来館者が動物園や水族館でエンリッチメントの取り組みを探すことは、飼育動物の“豊かな暮らし”を考えるきっかけになります。それは動物の暮らしや生態・行動についての理解を深めることにもつながります。動物園や水族館にとっては、日々の飼育管理を見つめ直し、動物福祉向上の取り組みを市民に向けてアピールする機会にもなります。
動物園や水族館で取り組んでいるエンリッチメントを正しく理解・評価することが、飼育動物たちの豊かな生活環境をつくり、彼らの福祉を向上させるための最大の応援になると私たちは考えています。
※応募の
エンリッチメントの5つの方法
動物たちの暮らしを豊かにする、といっても、具体的にどのような飼育環境を目指せばいいのでしょう? 1つの参考基準として、「動物が持つ野生本来の行動を発現できるような施設作り」をあげることができます。 動物はそれぞれ生息地に適応した体の特徴や生態、社会を持っています。 そこで、飼育環境を本来の生息地環境に少しでも近づけるようにエンリッチメントをおこないます。 エンリッチメントは、以下の5つの方法に分類することができます。
- 採食
- 多くの野生動物は、一日の餌を探し、取り、食べることに費やしていますが、動物園ではすぐに餌が手に入り、残りの時間を退屈にすごすことになります。動物が、野生本来の採食行動を発現できるよう、餌の種類を増やしたり、与え方を工夫したり、回数を増やすなどの工夫をします。
- 社会
- 群れを作って暮らす動物は、群れで飼育します。オスメスの数や年齢の構成も野生に似せます。また、飼育員さんや他の動物との社会的な刺激も、効果的です。
- 認知
- 知能の高い動物にとっては、頭を使うこともエンリッチメントになります。また、複雑な動きをするおもちゃの設置や、遊具の導入設置もいいでしょう。
- 感覚
- 見晴台を作ったり、新しい動物の匂いをつけたり、他の群れの声が入ったテープを流したりします。五感を刺激して、環境に変化をもたせます。
- 空間
- 木の上で暮らす動物には登ることができる場所、水を使う動物には水場をつくるなど、動物の行動特性に配慮した空間作りをおこないます。平面的な広さだけでなくその空間の内容が重要です。ロープやハンモックを取り付けると、立体的に利用できる空間が広がります。
※エンリッチメントは、事故の原因となることもあります。 導入にあたっては、継続して観察をするなど、慎重を期すことが必要です。
エンリッチメントの進めかた ── S.P.I.D.E.R.モデル
エンリッチメントの実践においては、実施した内容を評価し次の取り組みにつなげていく 「S.P.I.D.E.R.モデル」が重要だとされています。 工夫は、入れて終わりではありません。エンリッチメント大賞の審査も、この考え方を軸にしています。
- 目標設定Setting Goals
- どの
行動を 引き出したいのかを、 はじめに 決める - 計画Planning
- 何を、
いつ、 どうやって 試すかを 組み立てる - 実行Implementing
- 実際に
飼育環境へ 取り入れる - 記録Documenting
- 動物の
行動を 観察し、 書き残す - 評価Evaluating
- 記録を
もとに、 ねらった 行動が 出たかを 確かめる - 見直しReadjusting
- 結果を
受けて、 目標や 方法を 組み直す
出典: 落合-大平 2009「霊長類研究」/エンリッチメント大賞2017 講評より
2026年度の審査が進行中
2026年6月15日を
現在は
- 終了応募受付〜 2026年6月15日
- 進行中一次審査・現地調査6月 〜 9月
- 予定受賞発表10月頃
- 予定表彰式・
受賞者講演会 12月
過去の受賞取り組み
2002年の

大賞を、市民の手で続けるために。
エンリッチメント
年に
無理


