長崎ペンギン水族館長崎県
ふれあいペンギンビーチ

「ペンギンが海を泳ぐ」という、当たり前の状況を飼育環境下で作り出した日本初の試みが評価されました。エンリッチメントの目標の一つに、自然に似せた機能を再現する、というものが挙げられますが、ここでは“自然そのもの”を利用しました。動物が快適に過ごせるための施設や体制づくりが実現している取り組みです。
2001年に水族館が現在の海沿いの場所に移転した当時から、「ペンギンを海で泳がせたい」という夢がありました。水族館に隣接する沿岸部分をネットと柵で囲い、砂浜のある入り江部分を「ふれあいペンギンビーチ」として、2009年7月にオープンしました。このビーチを利用するのは温帯に生息するフンボルトペンギンです。同館で暮らす67羽のうち老齢の個体などを除いた59羽から、毎日10数羽ずつが交代で出てきます。ビーチに出る個体は、その日の各個体の“希望”と体調、館内の展示とのバランスに応じ、担当者が毎日調整しています。その日のビーチ開始時間になると、飼育担当者の付き添いのもと、ペンギンたちは館内の展示場からビーチまで100mほど歩いて向かいます。それから数時間、ペンギンたちはビーチで自由に過ごし、終了時間になると担当者の誘導に従い、必ず館内のプールに戻ってきます。
飼育下のペンギンでは、歩行や遊泳ができる空間が制限されているため、運動不足や、それが原因の一つにもなる趾瘤症などの問題が起こりがちですが、ここでは見られません。また、飼育下ではめったに観察されない、海岸の波打ち際を早く移動する際におこなう、フリッパーを用いた“四足歩行”や、ビーチ内に侵入してきた魚を探索・捕食する行動が見られます。このように、行動の多様性を引き出し、運動量を増加させることで、健康面での改善ができました。
これまでの4年間、大きなトラブルや事故などもなく、継続してきた実績も大きく評価されました。来館者との適切な距離が保たれていることと、監視体制が整えられ、観察結果に基づく研究成果を飼育にフィードバックしていることの成果であると考えられます。今後も、ペンギンと来園者双方にとって、快適な空間であり続けることを期待します。
長崎ペンギン水族館
(ながさき ぺんぎん すいぞくかん)

