日立市かみね動物園茨城県
チンパンジーの森」の植樹祭と群れづくり

チンパンジーの飼育施設における、「植樹祭」と「群れづくり」を何年にもわたって継続してきた努力と、その成果が表われ始めていることが評価されました。
「チンパンジーの森」は2008年にオープンした施設です。それまでのコンクリートで囲まれた施設から、土と緑とタワーからなる環境になりました。動物園はこれを“完成”とせず、毎年1回、小さな森づくりを目指した植樹祭を開催し続けてきました。来園者がチンパンジーの運動場の中に入り、自分たちで持ち寄った木を植えることができるこのイベントは、来園者参加型エンリッチメントと言えます。自分が植えた木を、チンパンジーたちが食べたり、折って遊んだり、ベッドを作ったり、あるいは日陰として利用したりするようすを観察することで、来園者自身がチンパンジーのエンリッチメントに関わったという実感を得ることができます。そして4年間の継続した取り組みにより、チンパンジーのニーズや好奇心を満たす「森」に少しずつ近づいています。
群れづくりの面では、父系の複雄群で暮らすチンパンジーの生活に近づけるためにオス親子とメス1個体を飼育していたところに、メス3個体を順次導入しました。各個体に合わせた導入手順と適切なケアで、社会行動に問題があった個体も、群れ入りに成功しました。また、これまでの3回の出産で毎回育児放棄をした経歴を持つ母親がいったんは人工哺育となった我が子を抱くようになり、こどもは1歳4ヶ月という記録的なスピードで群れ復帰しました。社会行動に問題のあったメスの、高齢初産の日本記録となる34歳での出産にも成功しています。今までのチンパンジー飼育の常識を覆す実績を残しました。
以上の取り組みは、チンパンジーに対する深い知識と担当者の努力、周囲のサポートがあってこそ成功したものと評価されます。今後の植樹祭の継続はもちろん、残る人工哺育個体の群れ復帰など、更なる努力と挑戦を続けていかれることを期待します。
日立市かみね動物園
(ひたちし かみね どうぶつえん)

