秋田市大森山動物園秋田県
トナカイの放牧飼育を含むエンリッチメント

寒い地域を生息地とするトナカイにとって、日本、とりわけ本州以南の気候での飼育環境ではさまざまな問題が発生しています。歯の摩耗、蒸し暑く不快な環境、放飼場のサシバエなど、その問題の1つ1つを丁寧に検証し、対策を施し、6年にわたる年月を経て一定の効果を得たことが評価されました。
歯の摩耗対策として、キリン飼育で得た実績から、食べる部分を自分で選択できるようにするといった餌の改善をしました。行動の多様化のため、園内散歩を開始し、段階的に放牧に発展させ、枝葉や草などの自由採食を促しました。放飼場では計画的に樹木を生育させ、日陰を増やし、散水などを併用して気温を下げました。サシバエの吸血に伴う不快感のため走り回ることも体温上昇の要因になっていたため、サシバエ対策も併用して取り組みました。試行錯誤の結果、放牧時の自発的な遊泳と放飼場での長時間持続可能な虫除け薬剤を探し当てたことにより、十分な睡眠時間が確保されました。大学や企業などとも連携し、体温モニターを開発して常時監視体制も確立されています。総合的な環境改善に取り組むことで、トナカイたちが健康になっていることが、歯の状態改善や角の正常な交替、急激な体温変化の抑止といった数々の蓄積されたデータにより示されました。
これらの取り組みは、細かな情報共有のもとチームで実行され、さらにトナカイを超えて園全体の仕事として他の動物にも広がるとともに、情報発信により多くの市民からも応援されています。


