広島市安佐動物公園
オオサンショウウオの継続した飼育下繁殖と域内保全への適用

広島市安佐動物公園は開園(1971年)以来、オオサンショウウオについて“野生に学び”、そこで得た知識や経験を研究や飼育にいかしてきました。飼育下において、オオサンショウウオの豊かな環境を整えることに成功し、繁殖や継代飼育という形でその成果は表れています。今年は20年ぶりの野生個体数調査をおこない、20年間の野生個体数の推移についての比較研究が予定されています。そこで、これまでの取り組みに敬意を表し、この機の授賞となりました。
エンリッチメントとしての一番の素晴らしさは、園内に設置した「人工巣穴」でしょう。オオサンショウウオの“ヌシ”が安心して卵を守るための環境を、水流や人工物などの絶妙な配置で再現しています。一見、水がたまるマンホールの数々のようですが、ヌシが他の雄や外敵から巣穴を守り、卵や子どもたちを守ることのできる良好な環境を整えています。そこはオオサンショウウオにとって、必要な機能や要素が満たされた、安心できる環境なのです。オオサンショウウオは、日本各地の動物園や水族館で飼育されていますが、長期間にわたり継続して繁殖しているのは、この安佐動物公園だけです。それが、オオサンショウウオの飼育の難しさと、安佐動物公園の飼育技術の高さを物語っています。
飼育技術やデータは公開され、国内外の様々な機関との連携・協力も積極的におこなわれています。野生のオオサンショウウオの生活空間のモデルとして、河川の改修工事にも活かされています。地域住民と協働した保護活動にも取り組んでいます。海外からの評価も高く、海外の動物園関係者がオオサンショウウオ類の飼育研修のために訪れています。こうした学術研究や保全活動、教育、海外との連携などは、飼育の技術の高さを裏付けるものであり、飼育での環境エンリッチメントが、そうした技術や普及により支えられていることも評価されました。
飼育下に、野生環境の縮図ともいえる生活空間を再現することに成功した、「環境エンリッチメント」そのものであり、長年の様々な活動に敬意を表しての授賞となりました。
広島市安佐動物公園
(ひろしまし あさ どうぶつこうえん)
