札幌市円山動物園
21世紀のゾウ飼育の最低条件を寒冷地で実現させる試み

アジアゾウの飼育施設・飼育体制として、日本国内ではこれまでになかったスケールのものが実現しました。
施設は、ゾウ飼育の国際的な基準を満たすことが目標とされました。寒冷地である札幌でも冬季に適正な飼育ができるよう、充実した屋内施設を設けました。ゾウにも飼育担当者にも安全な準間接飼育を前提とし、屋内外に砂を厚く敷き詰め、さまざまなエンリッチメントを実施できるような配慮もなされています。そういった作業が十分に実施できるように担当職員を増員するなど、体制づくりに取り組んだ動物園や札幌市の組織としての姿勢も評価できます。
円山動物園では、旧来の施設で単独飼育していたゾウが死亡したあと、再開について議論を進めてきました。過去の反省を踏まえたうえでゾウ飼育の是非を市民に問い、合意形成し、各種調査や検討を経てさまざまな課題をクリアし、飼育再開に至りました。
このように、ゾウの来園から2年が過ぎ、これまでの日本でのゾウ飼育の問題点を把握しながら飼育技術の習得と向上を目指している点が高く評価されました。しかし、これが終着点ではありません。ここでのこれからの実績が、他の動物園が後に続くかどうかの試金石となるでしょう。ゾウの飼育や展示を続けるには、このような施設と体制を築き、飼育担当者の安全のもと、ゾウの健康や繁殖が保障されることが必要となってきています。これからの日本の動物飼育においてリーダーシップを発揮されることを、今後の円山動物園に期待します。



